亀河原の山中に大きな巌窟があり,その中に観音像を安置している。
窟前
に堂宇があり,古木森々として巖上より水簾がかかっている。
これ即ち観
音の滝である。
この観音を発見したことに,二つの説がある。
① 享保年間のことである。当時田ノ浦の人が,毎夜のこと,畑に行き猪の番をしていたが,ある夜,不思議な鉦の音を聞いた。
次の夜もまた同じ
音を聞いたので,翌朝早速その方向を探したところ,今の巌窟を発見し
たので,観音を祀ったと言う。
② 猪之木の人が,夜,猪を撃ちに亀河原に数回行ったことがあった。
その度に山の上に不思議な灯りが見えるので,ある夜,木々をおしわけて近づいてみると,
巌窟の中に灯りがともっていた。
これこそ御仏にちがいないと,観音を祀ったという。
この観音の有難さは,夏に旱魃が続く時,一滴の水もなく参詣人は大変困
ることがあるが,この時,三十三番のご詠歌を唱えると,
水が滴り落ちる
と言われている。